チームでオリエンテーリングする為に私が考えていた事
こんにちは。
今回アドベントカレンダーの担当になりました名古屋大学2014年入学、現在OLCルーパー/GROK所属の南河です。
他の皆さんがここに記載するような華やかな実績を持ち合わせていませんが、インカレ入賞経験や世界学生選手権の代表に選んでもらったりなどがあります。
では突然ですが、問題です。
問. オリエンテーリングで最も盛り上がる種目はなんだと思いますか…?
もちろんこの問いには様々な答えがあるでしょう。
どの種目もとても魅力的です。ですが、多くの人はこの問いに対して、「A.リレー」と答えるのではないでしょうか。(少なくとも私はそうです)
リレーの目標には優勝や入賞、完走など様々あると思いますが、やるからにはその目標を達成したいですよね。
リレーの走り方、走順、当日勝つためには様々な作戦があります。
リレーで勝つために/インカレスプリントの提訴の件 - オリエンティア Advent Calendar
では、作戦や組み方以前に、当日勝つためにチームの土台をどうやってそこにまで持っていけばいいでしょうか。
多くの大学、多くのチームがこの事に頭を悩ませているかと思います。
もちろんこれに対して明確な答えは無いと思います。ですが、この事に大学時代苦悩し続け向き合った私なりの考え・軌跡を僭越ながらこの場を借りてご紹介させていただこうかと思います。
偉そうな事をこれから書くのですが、一応2年間を通してチームづくりを意識してきた実績です。
(記載する事が活きているはず。。)
before) 2015年度
CC7 : 7位
山リハ : 学生内12位
選手権リレー : 8位
after) 2017,2016年度
CC7 : 4位(2017)、DISQ(2016年、隣ポペナ。タ イム的には4位相当)
山リハ : 学生内2位、1位(2017,2016)
選手権リレー : 6位、2位(2017,2016)
(写真 : 9秒差で優勝を逃したICMR2016)
目次
1.きっかけ
私がそもそもリレーを頑張りたいと考えるようになったのは私が2年の時の春インカレ:ICMR2015@星降る塩谷でのリレーがきっかけです。
当時私の部内での実力の立ち位置は3,4番手で、
一般クラス一軍の1走として選ばれ、当時4年生の2名と走る事になりました。
実力的には十分一般クラス入賞を狙える力のあるチームで、私は「絶対に入賞して4年生2人の有終の美を飾りたい!」と切に願っていました。
ですが、当日のレースはこの想いと反する結果でした。
当日のレース展開は今でも鮮明に覚えています。
スタート直後の大渋滞で靴を踏まれ脱がされ、ほぼ下位スタートしたものの中盤で先頭集団に追いつきました。ペース感覚的にも集団はかなりゆっくりで「(これなら全然出し抜く事が出来る!)」という考えがあったのですが、当初あんなに勝ちたいと思っていたのにいざその場に立つとミスが怖く自分に甘えて勝負が出来なかったのです。
そして結果我々のチームは4位で入賞を逃しました。涙する4年生2人を見て私は声をかけることも出来ず、寧ろ「南河はよくやった」という言葉に、自らの実力以前に肝心な所で勝負に出なかった口先だけの自分の不甲斐なさ、情け無さ、最後まで自分の事を気にかけてくれる先輩の心遣いに胸が張り裂けそうでした。
これをきっかけに自分のオリエンテーリング に対する姿勢は大きく変わり、個人としての憧れからくるモチベーションからクラブの為に戦いたいと考えるようになっていきました。
そして志を同じとしていた一つ上の代のHさんと選手権リレー優勝を掲げ何があっても頑張り抜くと、2度とこんな思いをしない、させないと決意をしました。
2.枠組みとシステム
チームでオリエンテーリング する為に必要だと考えたのは大きく分けて3つです。
①チームメンバー「全員」の実力の向上
②チームのモチベーションの維持・向上
③上2つを満たせる継続的なシステム
特にこの③は見落としがちになってしまいがちです(単発の練習会や合宿を企画・参加するだけ等)
③を組む上で意識した事は
- ハード過ぎず皆が継続可能(参戦しやすい)レベルである事
- 参加者としてだけでなく(享受するだけでなく)、当事者として参加してもらう事。
実際に実践した内容は簡潔ですが下記の2点です。
●週1度の高負荷トレーニング
元々、名大では週一度のレクリエーションに近いトレーニングとごく一部の有志によるトレ以外は自主トレがメインの状況でした。
その為、週に1度皆が参加しやすい曜日・時間・場所を設定しインターバルトレやビルド走などを実施する機会を設けました。
狙い:個々人のフィジカルレベルの向上+トレ後に皆でご飯を食べたり会話をしたりなどでの結束感やモチベーションの向上
●月一度の技術力強化・目標設定ミーティング
名大では毎週部全体でのMTは実施されていますが、決め事の話し合いや後輩指導の為の地図読みのみでした。
そこで、月一度の頻度で
・各自の月間目標(走行距離目標&大会目標)の設定&その達成度の確認
・ローテーションで2名のアナリシスを叩き台にし皆で討論&フィードバック
といった内容を行いました。
狙い:選手権だけでなく、それぞれのクラスでのモチベーション向上。多くの人数でアナリシス添削を行う事で当事者も周りも多くの知見を得ること。
またそれぞれを行うにあたって無理のない範囲で役割を各自に割り振ってお願いをしていました。
効率的には私が1人で行う方がもしかしたら良かったかもしれませんが、上で述べたとおり皆が帰属意識を持って主体的に当事者として参加してもらおうという意図がありました。
3.エースとして意識していた事
チームを引っ張る存在でありたいと思った自分が意識していたのは以下です。(エースを自称するのちょっと恥ずかしいですね。笑)
①誰よりも努力をする事
②努力を発信する事
③結果を出し示す事
④決して排他的にならない事
①・②に関して
走ってもいないのにオリエンテーリングで勝ててしまっている人がいると何だかやるせない気持ちになったり、「じゃあおれも頑張らなくても大丈夫か」なんてなったりしますよね。(もちろんこれを反骨に変える人もいるでしょう)
なので、努力している人がちゃんと速いこと。速い人がちゃんと努力している事は非常に重要です。
また、努力を隠す事や自慢しない事を美徳とする風潮は世間に確かにありますが、
チームスポーツにおいては「あいつが頑張ってるならおれももう少し頑張ろう」といった自らの努力が誰かの努力の後を押し、それがまた誰かの背中を押す正のサイクルを生むことが出来ます。
なので、努力は積極的に発信するようにしました。
③について
人は遠い目標ほど掲げるハードルが高く、出来そうな目標ほど掲げやすい生き物です。
つまり、目標に近い実力や結果があれば自ずとチームの士気は上がりやすいです。
(実際、2016年度は山リハの優勝を受けて選手権リレー優勝という目標にイケイケムードが部内に流れるようになりました。)
その為部内はもちろん、エースが他大のエースよりも速くあることは非常に重要で尚且つその結果を周りに示し、チームを鼓舞するようにしていました。
クラブを盛り上げる上で最も効果的な事は結果を出しそれを示す事です。
④について
自分を限界まで追い込んでいるのに周りがついてこないという状況の時、人は苦悩します。
ですが、その努力を周りに押し付けること、やらされた努力からは何も産まれず、個々人の主体的な努力でなければチームの向上には繋がり得ません。
その為、自分が頑張りたいと思ったチームを信じて待つという事がとても大事です。
また頑張る人は偉いですが、偉くはありません。どうしても速い人の発言は集団において強くなってしまいがちですが、部において所属する人は皆平等であり、そこに差はありません。実力を傘にかけるような態度では人は付いてこないだろうという事は留意しないといけません。
4.苦悩、後悔
自分語りです。
上記の事を意識する上で下記のような苦悩がありました。
●どんなレースをしても満足出来なかった。
上記のような事を意識し過ぎていた為、自分の結果がクラブの結果になると感じており、負けると吐きそうに、勝っても安堵こそあれど喜びは薄く、少しでもミスしたところがあったり巡航が負けているとそれだけでお葬式のような気分になっていました。
また、勝つ為のオリエンテーリングを意識し過ぎて、当時、「オリエンテーリングが好きですか?」という単純な質問に素直に答えられなかった事を今でも覚えています。
●怪我が続き空回りしていた。
オーバーワークが続き、3年のロングでは疲労骨折。3年のミドルリレーでは筋断裂+腸脛靭帯炎。4年のロングは踏み抜きで迎える、とまともに歩けない状態で痛み止め服用のインカレばかりでした。
それでもインカレへの思い入れが強過ぎて、普段の120%の力を出そうとして自滅し、なぜ自分はこんなに頑張ってるのに報われないんだ!という考えに取り憑かれていました。
当時の自分は努力の意義を履き違えており、自分の実力に目を向けず苦しい思いをすれば報われると勘違いをしていました。
真の努力は速くなるために行う事、本番は普段の自分の力を発揮する事、これに気づくのにとても長い時間がかかりました。もっと早くに気がつけば色々変わっていただろうなと今は感じたりします。
5.最後に
偉そうな事を色々と書きましたが、自分一人では決してありえませんでした。切磋琢磨して時にぶつかり時に高めあえる仲間に出会えた事は私にとって非常に幸運です。
ですが、これは当時の名椙に限らず私が関わったことのあるオリエンテーリングを嗜む者皆がそうであると私は思います。
こういった人たちに出会うことが出来たこのオリエンテーリングというスポーツを今は胸を張って好きだと言えることに幸せを感じます。
最後に、あまり文章を書くのが得意ではないので取り止めのない書き方になってしまいましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
また会場でお会いしましょう。